革靴を履いたサピエンス

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【書評】人気のFireムーブメントに物申す?「Zero with Die」〜後悔しない時間とお金の設計を〜


最初に

Fireムーブメントをご存知ですか?
数年前からブームになっており、日本でも実践している人が多いようです。私の働いている会社でも、最近は若手社員が堂々と「〇〇歳までにFireしたい」と言っていたりと、時代のトレンドを感じることもあり、また私自身、Fire本に影響を受けて日々の判断をしている部分も多いのですが、今回読んだ「Zero with Die」は価値観をアップデートできる部分もあり、面白かったので紹介です。

そもそもFireムーブメントとは?

[Finantial Independent Retire Early] の略語で、経済的独立を若いうちに果たそう!というライフスタイル。具体的には、株や投資信託などの金融商品を若いうちに買えるだけ買って、そこから得る配当だけで暮らせる状態を目指すというもの。米国の知的エリートの間でブームになり、再現性も高いため日本でも高所得サラリーマンを中心に人気が高まっているようです。

「Zero with Die」のメインメッセージは「人生の時間とお金を最大限利用して、死ぬまでに資産を使い切れ」というもの。著者もFireに影響を受けた人物の一人だが、若年代の徹底した倹約には異を唱え、経験に投資することを推奨しています

特に印象深かったのは以下の内容です

本書の主張

ルール1:今しかできないことに投資する〜若い頃にはした金を貯めるな
ルール:2一刻も早く経験に金を使う 〜人生で一番大事な仕事は"思い出づくり"
ルール3:ゼロで死ぬ 〜金の価値は加齢とともに低下する


ルール1: 若い頃にはした金を貯めるな
「若い頃から貯金しておけばよかった」こう振り返る人は多いが、本書の主張はこうだ。「今しかできないことのために金を費やすべき」。現代の多くの人が、お金そのものに価値を感じており、「経験の価値を信じていない」ことを指摘している。

自分の身に振り返ってみよう。例えば自分を振り返ると
友人から誘われた、とてもワクワクする冒険の計画。ドキドキしながら楽しむ、多感で美しい女子とのデート。自分の力の無さを思い知るかもしれない、セレクションを経たビジネスプログラムへの参加。

こういったチャンスを、お金のなさを理由にいくつか逃してきたように思う。そこでかかったお金など、あとからいくらでも稼げるようになっているというのに、後悔しかない。

逆に、お金を理由に断念しなくて本当に良かったと思う決断も多い。
例えば、やっと暮らしにゆとりが持てた頃の、途上国へのバックパック旅行。身の丈を少し超えた、大都会都心での生活。さらなるチャレンジを求められる転職へのトライとオファー。

節約ばかりしているとそのときにしかできない経験をするチャンスを失う。その結果、世界が必要以上に小さな場所になってしまう。人生は経験の合計だからだ。


ルール2:人生で一番大事な仕事は「思い出づくり」
何かを経験するのは、その場をただ楽しむためだけであろうか?著者は、経験が思い出を作り出し、私達に尽きることのない「配当」を与えてくれるとメッセージングしてくれる。
例えば、とても楽しかった旅行の話を思い出してみよう。旅行の後には、友人と話をしたり、自身で回想たり、同じような旅行の計画者にアドバイスしたりと、経験から副次的に生まれる経験が、人生を豊かにしてゆくことはないだろうか。

もっと身近な例を引き合いに出すと、学生時代の部活動などその最たる例だろう、学生時代は、なんだかんだと周りの大人が多様な経験を積むことの大切さを教えてくれる。経済的に独立し、金のことばかり考えるようになると、そのことはすっかりと忘れてしまうのではないだろうか。

金を払って得られるのは経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれているのだ。

ルール3:金の価値は加齢とともに低下する
著者は祖母に渡した1万ドルを、祖母が使い切れなかったエピソードを引き合いにし、「金から価値を引き出す能力は、加齢と共に低下していく」のだと感じたという。確かに、今100万円で楽しめることをジジイになった自分が楽しめるとはとても思えない。重要なのは、イマジネーションを膨らませてみないと想像できないということだ。私達はまだ年老いていない、だから年老いたときも今と同じく物事を楽しめると思っている。そうでない可能性に思いを馳せることは重要だろう。

莫大な時間を費やして働いても、稼いだ金をすべて使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことになる。その時間を取り戻すすべはない


本書を読んで確かに感じたのは、今の年齢、今のステージだからこそ経験できることは間違いなくある、ということです。そして、「経験から価値を引き出しやすい年代」というのも確かにあるのだろう、と考えます。目の前に新しい経験を得るチャンスがあり、そこから価値を引き出すことの年代にいながら、それを差し置いてまで倹約を極めて貯蓄する必要性はあるのか、よく考えて行動したい。

現在30代前半の自身の身に置き換えてみても、今しかできないこと、に投資することに対して、行動を変えようと思う点が多々ありました。まずは今年から来年にかけて、自分のライフスタイルに大きな影響を与える一冊になりそうです。

・筋トレ、歯科矯正、レーシックなど身体への投資
・大切な人へのプレゼント、思い出づくり。
・英語、プレゼンテーション、交渉話法などの習得すべきスキル
・副業、仕事以外のアウトプットの機会の増加
・体力が必要な冒険や旅行