革靴を履いたサピエンス

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書評:幸福の「資本」論―あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」(橘玲)

本書では「人は幸福になるために生きてはいるけれど、幸福になるようにデザイン」されているわけではない」ことを前提に、幸福とはどういう状態なのか、何を積み重ねれば人は幸福といえるのか、一般化してわかりやすく書かれています。

人生百年時代と言われて久しく、長期的な展望で人生戦略を練ることが求められてしまう現代において、「いままで頑張ってきたのにちっとも幸福じゃない」「一体どうすれば幸福になれるのか」なんて悩みを持つ人にぜひ読んでみてほしい本です。

本書の主張

ひとが幸福といえるときの条件として、
①自由②自己実現③共同体=絆
を挙げ、それを支えるものとして
①金融資産②人的資本③社会資本 
この内のどれか2つを充実させよう、というものです。

①「金融資本」があれば、自由な時間、自由な生活スタイルを選べる。
②「人的資本」(ここでは恵まれた仕事のことを主に指す) があれば、自己肯定感をもって生きることができる。
③「社会資本」があれば、孤独ではなく、人との絆に充足感を得ながら生きることができる。


どれか一つだけが充実していても「退職者」「ソロ充」「プア充」などと充実した人生を送ることが可能だが、2つ獲得できれば「お金持ち」「旦那」「リア充」などより幸福度の高い属性への道が開けます。

具体的な行動

これらを満たしていくためにどう行動すべきか、という話になってきます。
①「金融資本」を増やしていくには、倹約が必要です。具体的には「同じ結果を得られるなら安いほどいい」これを念頭に生活していくこと。そして、金融資産を増やす人的資本の成長に投資することも必須となります。

③「社会資本」を充実させるには、家族や地元の友だちを大切にすること。しかし、上京してきた人などにはそれは大変かもしれませんが、一つの方法として、「ゆるいつながり」を複数持つことを著者は提案しています。

②「人的資本」とは、給与が高く、安定した仕事に就くことで高められるのですが、一つ落とし穴があります。
それはひとは「本当の自分、かけがえのない自分になりたい」という欲求が満たされる仕事を選んでしまう。ということです。

ここが本書のキーポイントであり、ハッとさせられる考察がありました。

サラリーマンをしていて、やりがいを求めて転職し、転職先でも「やっぱり何かが違う」となってしまうことがよくあります。(私も覚えがあります。)
この現象に対処するヒントが本書にありました。
それは「本当の自分」とは幼い頃集団の中で自分が選び取った役割=キャラ なのであり、そのキャラでい続けられる仕事をする。ということです。
悩みは、会社で管理職になったりして、求められるキャラが本来の自分と異なってくることがでてきます。
つまり、「子供の頃のキャラ」で勝負できる仕事を選び取ることがキーとなってきます。

豪快な性格、大胆な人、繊細な性格、皮肉屋な人。
自分の個性は子供の頃に選び取ったキャラがそのものであり、無理に変えて生活し続けると「本当の自分を見てほしい」と考えるようになるのです。

②人的資本 はその他の要素を充実させるためにも大きなキーとなってきますが、
人生に行き詰まりを感じている人は、「やりがい」こそ史上 と考えるのではなく
・自分のキャラでできる仕事
・給与が高くなることが見込める(世の中に求められるクリエイティブジョブ、またはスペシャリスト)
・給与が高いならより安定した仕事(ビジネスモデルが優れている)

ここに注目して考えるべきだと思います。

例えば私なんかは、子供の頃は
活発というよりは思案していることが多く、少し皮肉のきいたジョークを好み、受け身だけど周りがやってることはなんでもやってみて、みんなと仲間になりたい。
知恵や知識で頼られることが多く、そこに喜びを感じるような子供だったなあ、と自己分析しています。

そういった特徴を会社員で活かすのなら、技術者やバックオフィス、経営企画などの仕事が向いているのでは、と考えています。

最後に

幸せのかたち十人十色である。というのがは間違いなく、本書の要素のどれを積み上げればより幸せになれるのかは、人によって異なります。
でも、これらの要素を積み上げて行けば幸せに近づける、日々の行動を変える一歩になる本でした。